よじょうブログ

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源氏物語関連書籍これが好き

源氏物語にどハマりしてからというもの、解説書や関連書籍を見るとついつい購入してしまうようになってしまいました。

こんなにお金を使っていいのか?と不安になるものの、オタクは好きな作品の同人誌とか見つけたら値段も見ずにポチるってよく言うじゃないか、アレと同じことだ、と思って気にしないことにしています。

そんなわけで、源氏物語関連書籍の中で、読んでみてすごく面白かったお気に入りの書籍をメモしておきたいと思います。

 

(1)あさきゆめみし

説明不要、源氏物語をかなり原典のストーリーラインに忠実に少女漫画として落とし込んだ大和和紀先生の大傑作ですね。(というか、私の源氏物語の入り口はこっちからなので、関連書籍として紹介するのは変な感じだ。)

源氏物語を読むまでは源氏物語を漫画化したものがこの作品だと思ってたのですが、源氏物語と違う部分も結構あって驚きました。あさきゆめみしで好きだと思ったシーンやセリフの多くが、源氏物語にはなかったりした(笑)

全体的に、少女漫画としてうまくまとめている、という感じで、源氏物語だと「女は望まぬ結婚に悲しみに暮れた」で終わっているところを「女は悲しみに暮れたが、男の本心に触れて、嘆いてばかりでいるべきでない。私はこの人の元で頑張るんだと心に決めて自らの足で立った」という風にアレンジしているみたいな(玉鬘周りや宇治十帖などが顕著かなと思います。)源氏物語の「今の価値観から考えると酷すぎる・・・」みたいなポイントを上手くまとめ上げている印象です(薫とか匂宮が特に源氏物語読んでこいつら酷すぎる・・・ってびっくりした笑)。でも源氏物語の解釈として外れるものでないと思うし、上手い補完だなと思える感じで、逆に原典を知ることで大和和紀先生の手腕に改めて感動することができました。

あさきゆめみし新装版発売時のこちらのおかざき真里さんとたらればさんの対談記事でも、源氏が藤壺と関係を持つシーンで源氏物語では藤壺はハッキリ拒否の姿勢を示しているが、あさきゆめみしでは藤壺は「共犯者になろう」「あなたと共に罪を背負います」と藤壺を自立的に描くことで源氏の罪をマイルドにしているという点が述べられていましたね。この対談もすごく共感しました。

withnews.jp

今の価値観で読むとヤバすぎるシーン満載の源氏物語を少女漫画として楽しめるようにするための工夫が詰まった、少女漫画としての完成度の高いあさきゆめみし、当時の人々(特に女性)の生き方や苦しみをありのまま(かどうかはわかりませんが)綴った源氏物語、どっちも別の良さがあって最高だと思うので、ぜひ読み比べてみてほしいです。

 

(2)平安人の心で「源氏物語」を読む

この本は本当に本当に源氏物語の副読本として素晴らしかったです!源氏物語の時代背景や背景知識がすごくわかりやすく解説されていて、理解が深まりました。

天皇の子が源の姓を賜って臣下に降る意味

光源氏は身分社会の敗者であること

源氏物語紫式部がこの物語を書いていた時代よりも100年近く前を舞台にした「時代小説」のような作品であること

女房はどういう存在か、乳母とはどんな役割か

など、源氏物語を通読しただけでは全くわからなかったことばかりで、源氏物語がますます面白く感じられました。

特に、この著者の方の解釈(主張)にあたるパートだと思いますが、紫式部が使える彰子の夫である、実在の一条天皇中宮定子のエピソードと源氏物語をオーバーラッピングさせた解説が特に興味深く、また、説得力があり、本当に読んで良かったと思える一冊でした。

 

(3)源氏の男はみんなサイテー

これは本当にめちゃくちゃ面白かった!

タイトルの通り源氏物語に登場する男たちに鋭い批判・ツッコミを入れていて、かなり痛快で面白いのですが、彼らはなぜそういう風になってしまったのか、親子関係、生育環境、時代背景から考察していて毒舌ツッコミ本というだけに留まらない深い内容でした。

光源氏や頭中将、薫や匂宮、夕霧や柏木などの主要登場人物だけでなく、朱雀帝、宇治の八の宮、髭黒、蛍宮、冷泉帝、玉鬘に言い寄ってきた大夫監、伊予介、浮舟の義父などなど、この手の話題で見ることがそんなに多くない気がするようなキャラクターに至るまで、出てくる男たちにことごとくツッコミを入れまくり、深く考察しているのも最高でした。(いやほんと、出てくる男出てくる男、みんな難アリなのよ…。)

そして一番共感したのは宇治十帖クライマックスへの解釈。浮舟が選択するラストに感じる女性にとっての救い、一方での薫の「僕って最後まで女には苦労させられるのよねー」と成長しない様子が気になってしょうがない、心配な気持ち、めっちゃわかる!と大きく頷きました。

他にも、男たちを語る上で紹介される当時の貴族や受領の金銭事情、政治的な背景、貴族・権力者同士の力関係などの背景知識も非常に勉強になる1冊でした。

 

(4)番外・書籍以外

tree-novel.com

WEBで読める記事では、こちらの「ファスト源氏物語」シリーズがめちゃくちゃ好きです。オタクに馴染みの深い文体で源氏物語に鋭いツッコミを入れながら解説していて最高に面白い。

特に宇治十帖編はクッソ笑った(宇治十帖は悪いインターネットと親和性が高すぎる)。  

今回はお気に入りの3冊+αについて書いたのですが、どれも有名で当たり前すぎるチョイスだったかもしれませんね…!これからも色々読んでみたいなと思います。面白い書籍があったらぜひ教えてほしいです!