この２帖めちゃくちゃ面白くて長くなっちゃったので！
前回の〜野分はこちらから↓
行幸
マジでこの帖面白い！養女の玉鬘を実の父・内大臣に実はあなたの娘なんですよと伝えたい源氏。内大臣に裳着の式で玉鬘の腰結いの役を頼もうとする源氏だが、玉鬘との繋がりを知らない内大臣は母・大宮が病気ということでお断りしてくる。そこで源氏は大宮を訪ねて大宮から内大臣に文を出してもらうように頼む（大宮は源氏にとっても姑だし夕霧のおばあちゃんだもんね）など、内大臣と大宮と源氏の駆け引きっていうか根回しの描写が本当に好き。
内大臣の元カノと関係を持ってたらその女性が亡くなっちゃって、内大臣とその女性の娘を自分が引き取って養女にしてた、というかなり「…」な内容を、大宮にうまいこと自分に非がない感じで伝えてる源氏、悪いな〜！
しかしその経緯を聞いた内大臣は「自分の娘として引き取った手前、情人するのは…と思って私に親権を渡してきたんだろ、遺憾だな〜」みたいに見透かしてるの最高に良い…源氏のことわかりすぎてる（笑）流石だ。
源氏って本当に多情で酷い男だなあとか思ってたけど、内大臣があちこちで子ども作って放置しててあとから政治利用できる女の子供が足りない！源氏がよそで作った娘を引き取ったらしい！よそで作った子ども、名乗り出て〜！みたいになってるの見ると、関係した女性たちみんな世話してる源氏がかなりマシに思えてくる。内大臣酷い！って随所で思うんだけど、なんだろう、源氏みたいにネチネチしたこと言わなくて思ったことはっきり言うキャラだから憎めないっていうか…。大宮もそうだし、左大臣家の人たちってなんか素直で可愛くない？やはり左大臣家箱推しだな。
藤袴
尚侍として宮中に出仕するよう方々から勧められて源氏の養女である中宮にも悪いし、実の父の内大臣の娘の弘徽殿の女御にも悪いしで悩む玉鬘。藤袴の感想を書いているものの竹河ももう読み終わっているので、竹河で玉鬘の娘の代にまで引き継がれている悩み、ここからずっと続いてるんだなあとしみじみした。
私はあさきゆめみしから源氏物語に入った人なんだけど、あさきでは玉鬘は最後には源氏を愛していたと気付くみたいな感じだったのが、原典では玉鬘はずっと「源氏に言い寄られてマジで困る…」って感じで驚いた。いや、そりゃそうだよね。普通困る。
内大臣に実の娘と明かしたことで源氏は道徳的な障害が取り除かれたようにもっと言い寄ってくるようになった、この悩みを相談できそうな人は誰もいない、源氏の妻たちは自分に母らしく接してはくれるけどこんなこと相談できるはずない…って追い詰められている玉鬘が可哀想すぎる。
そして内大臣の娘と明らかになったことで「玉鬘、姉弟じゃないからいけるやん！」ってなってる夕霧、いとこではあるやん…。しかも玉鬘と雲居の雁と姉妹やんか…。夕霧、玉鬘に無理に言い寄りやがってこいつー！と思ったけど、失敗して超反省して「もう無理な告白はすまい」と自分を戒めていて可愛い。源氏とは本当に違う息子であることよ。そして父源氏に対して「表向き尚侍にしておいて愛人にするつもりでは？」ってズバッと言った夕霧、いいね。もっと言ってやれ。
そして、え、後から気づいてなかったけど大宮、いつの間にか亡くなってた！？急にみんな喪服着てると思ったら…推しが描写もなく亡くなってた…（絶望）。あさきゆめみしと読み比べると、あさきでは大宮が亡くなるところに夕霧が寄り添ってるシーンを追加していて、いいオリジナル描写だなと思いました。
