お久しぶりです。
以前のブログが2021年4月で驚きました。
ここしばらくnoteでいくつか記事を書いていたのですが、やっぱりnoteの雰囲気が合わないような気がしてきて、久しぶりにはてなブログに戻ってきました。なんかはてなブログの方が“インターネット”っぽい感じがして…。なんか気軽なんですよね。
それはそうと、前回の日記を読んで驚愕しました。
(Audibleなら)源氏物語がコイン1枚でまさかの54帖全部聴けるので爆アド。何度もチャレンジしては挫折してきた源氏物語の読書が今までで1番続いていて嬉しい。
などと書いていたのですが、あれから2年近く経つ2023年2月現在、なんとまだ54帖中、20帖しか聴けていません。スローペースすぎる…。ちなみにAudibleは月1500円が微妙に高いなと思って解約しました。悲しいね。でもAudibleはたとえ月額課金をやめたとしても一度購入した本を引き続き聴き続けることができるので、ありがたく源氏物語を聴いていきます。この調子だと聴き終わるのは2025年とかなんだろうか…。せっかくなので、源氏物語(与謝野晶子訳版です)を聴いて1帖ずつ読書メーターに書いていた感想をまとめます。源氏をなじり続けてます。すみません。
桐壺
平安時代の物語なのに心理描写が本当に細かくてすごい。特に桐壺の母が、亡き夫の希望通りに娘を入内させたものの帝の過ぎた寵愛を受け、娘にとって良かったのか不幸にさせてしまったのかと悩み、嘆き悲しむ様子が丁寧で、苦しみが伝わってくるようだと思った。
帚木
雨夜の品定めのシーンはやはりすごい。空蝉との恋についても思い悩む空蝉の心情描写が細かくてすごいなあ。まだ子どもの小君を騙して姉との間で板挟みにさせる源氏の酷さよ…。
空蝉
短い章ながら、本当に描写が巧み。小君可哀想すぎる…。悪いのは源氏なのに、まるで自分が被害者かのように小君にあたる源氏の振る舞いがめちゃくちゃリアルというか、いるいるこういう人…って感じで、現代のそれと変わらなくてすごいなあと思った。それだけ人物の描き方が優れているんだなあという気がした。
夕顔
夕顔との恋と死別。この頃から源氏が、頭が良いということもなく男を頼りきっているような女性が好みで、そういう人に一から色々教え込んで育てたいというようなことを言っているのが、紫の上の伏線みたいになっているんだなあ。頭が良く、意思を持っていて年上の六条御息所との対比(ああいう人は疲れるな的なことを言っている)なのだと思った。六条御息所は昔は嫉妬深い女だと思っていたけれど、今見るとそりゃ嫉妬するだろうと思うし、しっかりした聡明な人なんだろうなという印象。前帖の空蝉、軒端の荻、今後登場する玉鬘にも触れているのも、細やかですごい。
若紫
幼き紫の上を自邸に無理やり引き取る源氏。これまで源氏物語はざっくり知っているだけで細部を知らなかったので、てっきり紫の上を引き取り自分好みに養育することがポジティブに描かれているのかと思っていたら、紫の上の家の人々はめちゃくちゃ困惑しているし断っているし紫の上も怯えているし、ただただ源氏が怖かった。
末摘花、紅葉賀、花宴は感想を残していませんでした。
葵
夕霧の誕生と葵の上の死。源氏と紫の上が男女の関係を持ち、結婚。兄のように思っていた源氏にそのようにされたことでショックを受け、無邪気に源氏を信頼していたことで自分を責める紫の上が痛ましい。自分を兄のように慕っている少女と無理やり関係を持ったのに、傷付いた紫の上に対して紫の上が悪い、こんな風に反応されて私は可哀想じゃないかというような話ぶりをする源氏、本当に最低すぎる。空蝉のときも思ったけど、酷い男の描写がなんて巧みなんだろう…。被害者ヅラの描写のプロ…。
賢木
藤壺の宮は源氏から迫られるのを冷たくあしらいながら、東宮の後ろ盾のことを思うと無碍にもできなかったり、源氏は藤壺の冷たい態度に怒りながらも東宮の世話を急にしなくなったら世間体も悪いしそんなこともできないし…みたいな描写が丁寧で、この時代が今にも増して世間体が大事だったことが伝わる…。藤壺の出家後、朧月夜との関係がまた盛り上がってしまってその関係が露見、呆然とする朧月夜を慰める源氏に、お前のせいだろ!と思った笑
花散里、須磨、明石は感想を残していませんでした。
澪標
六条御息所が亡くなり、伊勢の斎院を源氏に託すけれど、娘の幸せを思って朱雀院の妻にすることはしないでほしいであるとか源氏の恋人の列には加えないでと釘を刺すなど、やはり六条御息所はしっかりした良い女性だなと思う。教科書で夕顔や葵の上の物の怪のところだけ読んだ印象とは本当に違う。
蓬生
源氏を信じて一途に待ち続ける末摘花。源氏ときたら末摘花のことなんか偶然通りかかるまでちっとも気にかけていないほどだったのに、疑うこともなく源氏を信じる末摘花のなんと素直で善良なことか…。来るかもわからぬ男のことだけを頼りにして生活が荒れていき人が離れていく様子などは哀れと見ることもできるけど、真に一途な心で幸せを勝ち取ったヒロインは末摘花なんじゃないかなって気がしてくる。
関屋
六条御息所や末摘花に続き、空蝉のその後。大昔の小説なのに、昔関係を持った女性たちのその後もそれぞれ描いている丁寧さが何気にすごいなぁと思う。源氏ってプレイボーイってかんじだけど、昔関係を持った女性はポイ捨て、みたいなかんじでなくその後も熱心に文を送ったり生活の世話をしたりと、一つひとつの恋は結構"マジ"な恋なのが味わい深いなと思う。
松風
明石の君が明石を出て京へ。明石の君からの手紙を喜びながらも紫の上の機嫌を取らねばならないので「君が破り捨てておくれ」と紫の上に手紙を見せるところや、明石の娘の養育を紫の上に打診するという紫の上を誰よりも信頼しているよというポーズを見せる(実際にそうではあろうが…)ところなどは、源氏、ほんと罪な男だなあ!というかんじ。
薄雲
娘を紫の上の養女にすることを打診され、思い悩む明石。明石の母が「この子の将来のために身分の低い自分達の元で育てるより紫の上に預けたほうがいい、どれほど立派な袴着の儀式をしてもらい、どれほど尊重されているかを聞いて満足することになさいね」と明石を説得するところ、すごく切なかった。自分の娘が自分以外の女の元で育てられることでさえ苦しいのに娘が大切にされていることを喜びにしようなんて、なかなか思えるものじゃないよ…。それを飲み込めた、娘の幸せを願う明石の母としての愛はすごいものじゃないだろうか…。
朝顔
源氏から求婚されるも受け入れようとせず友情の範囲に留まり続ける朝顔、嫉妬に苦しむ紫の上、過去の恋人たちについて紫の上に語って聞かせる源氏、源氏の枕元に立って恨み言を言う藤壺…という巻。源氏の恋人となった人たちの苦しみや基本的に男に庇護されることが幸せに生きる唯一の道みたいなところのあるこの時代のことを思うと、源氏をかわし通す朝顔は一番カッコよく見えてしまうな。恋愛関係にないこの人が紫の上にとって大きな脅威に感じられるのも良い。というか源氏は紫の上の嫉妬を責めてばかりだけど、嫉妬も当然では?酷い男だよ…。