よじょうブログ

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源氏物語感想(若菜上・前編)紫の上が切なすぎる…。

源氏物語感想を書いてきて、ついにここまで来ました若菜!

源氏物語のハイライトといえばやっぱり若菜。ずっとここを読める日を待っていた…!

この帖が面白すぎて、上下巻なのに感想が上巻だけで前編後編に分かれてしまいました。

まずは上の前半の感想です。

前回までの感想はこちら。

yojo-takusan.hatenablog.jp

 

若菜上 前編

母を亡くした娘の女三の宮の将来を案じて誰かに嫁がせたいと考える朱雀院。婿候補の話をして源氏の妻にするのが最も安心っていう結論になるけど…なんで朱雀院ってこんなに源氏のこと信頼してるの?

朱雀院って自分の正妻になる予定だった葵の上は源氏の正妻になるし、自分に入内する予定だった朧月夜は寝取られるし、昔から思いを寄せていた秋好中宮は源氏が養女にして朱雀院の意向を無視して冷泉帝に入内させるわ、女を取られてばっかりなのに…何で源氏を少しも恨んだりする風もなく大好きなの????

 

女三の宮の裳着の式、秋好中宮から三の宮に櫛が送られているんだけど、もしかしてこの櫛って昔秋好中宮に叶わぬ恋をしていた朱雀院が贈ったやつ…?そんな想いのこもった櫛を何年も持っていて朱雀院の娘に贈ったってこと!?エモい…!!

 

朱雀院出家。源氏は女三の宮が永遠の憧れの人・藤壺の宮の血縁だったこともあり、女三の宮との結婚を引き受けることに。

女三の宮は皇女であるから、身分上正妻になり、ずっと源氏の正妻的な存在としてそばに居続けた紫の上の立場が危ういものとなる。

源氏の1番の人としてこの幸せが続いていくと信じていたのに自分の立場がこんなにも不安定なものになるとは、と苦しんでいる紫の上が本当に痛ましいよ…。でもそんな様子は源氏の前では見せず、寛大で物分かりの良い風に振る舞うのがすごく悲しい…。

苦しい心を抑えて女三の宮を源氏の妻を迎える支度をする紫の上に源氏が感激しているシーンや、紫の上が源氏に女三の宮のところに行くのが遅くなってはすまないから早く行ってあげてくださいと言うシーンなんて辛すぎる。源氏、何感激してんだよ!紫の上がどんな思いで…。紫の上、そんなに都合がいい女になるな…!髭黒が玉鬘と結婚した時に髭黒に灰を浴びせかけた北の方のようにしてしまったって私は紫の上を嫌いになんてならないね…!ちくしょう。代わりに源氏を殴ってやりたい気分だ。

紫の上が、苦しく寂しい思いを「源氏が須磨に流された時は、どんなに遠くにいても同じ世界に生きていると思うことで心を慰めようとした、自分がどんなにみじめであるかは問題にせず源氏が健在でいることだけを喜んだではないか、その時の悲しみで死んでいたら今日までの幸せはなかったではないか」と自分に言い聞かせて抑え込むシーンが悲しすぎた。

しかも源氏はいざ女三の宮と結婚してみたら、想像と違って幼稚な人柄で紫の上の素晴らしさを実感することになる、というのがまた悲しい。気付くのが遅いんだよ!今更気づいてももう正妻の座は女三の宮だし、紫の上は正妻に気を遣わなければならない立場になってしまったし、傷ついた紫の上の苦しみは癒えないんだよ…。女三の宮という若くて高貴な妻に源氏の寵愛が移って紫の上が孤独になっていくという展開だったらありがち(?)な気がするけど、そうではない。源氏の愛は確かに紫の上にあるはずなのにこんなにも紫の上は苦しい、という展開の描き方がすごいと思う。

 

(というか、読んでいて若菜上から光源氏の位が高くなって准太上天皇になったからだと思うんだけど、地の文でも光源氏に対して最上級の敬語使い出してる?気のせいかな?めっちゃムカついてきた。)

 

朱雀院が出家したことによって独身になった朧月夜に会いに行く源氏。

正直言って、源氏物語全編を通してもこの辺のシーンが1番好きかもしれないです。

朧月夜はもう源氏と危ない恋に溺れた昔みたいには源氏に応じようとしない。「昔から真実の欠けた愛しか私には持ってくださらなかった方の御誘惑などに今さらかからない。」ってめちゃくちゃカッコいいセリフじゃない?この人も大人になった…。めちゃくちゃ源氏を拒絶する朧月夜になんとか会おうと無理やり会いにきたり色々言って絆そうとする源氏のシーン、必死で面白い(笑)「昔みたいな変なことはしないから」と言う源氏に「じゃあ…」といざって出た朧月夜に(だからこの人は軽率なのだ…)とか思って満足げにする源氏、クソ〜!!そして結局朧月夜はそんな源氏に流されて関係を持ってしまう…。

というか、女三宮の件で紫の上が傷ついてるのに何さらに急に朧月夜とも復縁してんだよ!?しかも朱雀院が出家して朧月夜フリーになったからって即会いに行ってるの、前から思ってたけど源氏ってマジで朱雀院のこと舐めてない?須磨流刑反省してなくない?てか朱雀院の娘と結婚して朱雀院の寵妃に手を出しいに行くってどういうことなの?ヤバない?朱雀院悲しくないの?出家した朱雀院はもうそんなことを気にする立場じゃないのかな…。

朧月夜と源氏の復縁に、「若い人を新たに妻に迎えられただけでなく昔の女性まで復活さたら私なんてますます霞んでしまいますね」と笑って言いながらも涙ぐんでしまう紫の上が本当に健気で哀れで。しかもそんな紫の上に「いつもあなたがそんなふうに寂しそうにするから私は苦しくなる。いっそ私をぶつとか捻るとかしたらどうですか。」とか言ってる源氏、本当に許せないよ!なんなのこいつ!?というか、須磨の日を思って自分を励まして一人寝に耐えていた紫の上だったのに、その須磨流刑のきっかけになった朧月夜と復縁するってなおひどくない?なんでこんなシーン好きなんだろう。好きです。